「ビジネスや人生に成功するためには法則がある」ビジネス書を読むと、こういう文章に出くわします。また、「マインドセット」という言葉も耳にしますが、「自分の意志や心をどのように整理し行動するのか?」など、もっぱら「気持ちの持ち方・心のあり方」が大切であると思われがちです。しかし、実は私たちの行動や感情、思考を司る脳の働きを理解することが成功のカギなのです。
本記事を読むことによって、脳の構造や機能、成功との深いかかわりを知ることができます。
また、脳科学的なアプローチから成功法則を導きだし、あなたのビジネスや人間関係、日々の生活のなかで役立たせることができるスキルを身に着けることができるようになります。
脳のしくみ 成功脳の3つの特徴
大脳、小脳、脳幹で役割が分担され、大脳は左右で相互に連携
まずは、とても基本的な脳の仕組みと役割についてふれておきましょう。脳は大脳、小脳、脳幹の3つの主要部分から成り、それぞれが異なる機能を担当しています。大脳は思考や感情、小脳は運動制御、脳幹は生命維持活動を司ります。大脳は右脳と左脳に分かれ、直感や創造性と論理的思考や言語を担当し、連携して日常生活を可能にしています。
成功者の脳の3つの特徴 高い集中力・強烈な意思力・高い創造力
成功と脳の関連性では、成長意欲は大脳から生まれ、成功は脳の働きに大きく左右されるとされます。成功者の脳には高い集中力、強烈な意志力、高い創造力の3つの特徴があり、これらを培うことが成功への鍵とされています。
成功法則をつかむための考え方と行動とは
ポジティブ思考と計画的な行動ができているか?
ここでは、脳の機能をたかめ、「成功脳」とよばれるようになるためには、どのような考え方や行動が大切か?を考えます。
脳科学的な解説では、脳の最大容量を発揮するためには適切な環境が必要だといわれています。成功のために良い環境とは、ネガティブな思考やストレスをできるだけ低減させた環境のことをさします。まり、「考え方」と「行動」の2つの側面から、ポジティブな感情を維持し、脳を活性化させ、計画的な行動を継続することが成功への鍵だということです。
あなたが、「今、自分はいろんなことにうまく取り組めていない」と感じた時は、この「ポジティブ思考」になっていないのはどこに原因があるのか?をまず考え、ポジティブな感情に包まれるためには、自分がどういう行動をとるのが最適なのか?そのための行動を具体的に計画をしていくことが大切です。
脳の活性化と学習・記憶・創造力の向上
人間の脳は過去の経験や学習に基づいて思考パターンを形成します。これを変えることで、より良い結果を得ることが可能とされています。では、経験や学習に基づいて思考パターンを変えるには、どこをどう変化させることが必要なのでしょうか?
それは、「良質な睡眠」「脳機能を助ける食物の摂取」「適切な運動」「知的な刺激」の4つに集約されます。色々なことがどうもうまくいっていないな、と感じたら、この4つがあなたの毎日の生活のなかでどうなっているか?を一度チェックしてみてください。
思考パターンを変える方法
自己認識の重要性と訓練方法
いま私は、「いろんなことで自分がうまくいっていないな」となんとなく感じているときに、どこを分析したらよいのか?について、「良質な睡眠」「脳機能を助ける食物の摂取」「適切な運動」「知的な刺激」の4つがどうなっているか?が大事だ、と述べました。
思考パターンを変えるためには、上記の4つの点が、今現在あなた自身がどうなっているか?を客観的につかむこと、すなわち自己認識を深めることが大切です。
その方法については、最後の私の体験談のところに詳しく書きましたので、ご参照ください。結論だけ先に書いておくと、現状を把握したら、改善策の目標数値を決め、その達成のための行動を反復していくことです。反復した訓練によって脳が新しいパターンを学び、行動や結果が変化します。
記憶力を高めることは成功と無関係ではない
記憶力は脳の健康や適切な生活習慣、刺激的な活動を通じて強化でき、学業や仕事の効率が向上し、成功体験が増えることを助けてくれます。
記憶力を高めるには、ここでも、規則正しい生活習慣と栄養バランスの良い食事、適度な運動が大切です。新鮮な酸素と栄養が脳に届くようにすることです。そして、適度な運動で血液循環を高め、新鮮な酸素と栄養が脳に届くようにします。また、脳を刺激する活動、例えば読書やパズル、新しい言語の学習などを行うと、脳の神経回路が活性化します。そして最も大切なのは、継続的にこれらの行動をとることです。記憶力の強化は一夜にして達成するものではありません。むしろ、日々の小さな積み重ねが、大きな結果を生むということを理解することが大切です。
記憶力を高めるとなぜ成功しやすいのか?
記憶力が強化されると、様々な面での成功体験が得られます。学業や仕事においては、覚えた情報を忘れずに利用できるので、効率が上がり、パフォーマンスが改善します。また、細部の情報を正確に覚えておけるため、精密な仕事もこなせるようになります。さらに、人間関係でも、話をしっかりと覚えておくことで、相手の気持ちに寄り添ったコミュニケーションが可能となり、より良い人間関係を築くことができるでしょう。
これらすべてが、自信をもたらし、更なる挑戦へと繋がります。記憶力強化と成功体験は、一見別々のことのように思えるかもしれませんが、実は密接に連携しているのです。
ストレス管理と成功法則
感情制御能力の高まりと成功
仕事や人生に成功したかどうか?をはかるさいに大切なものさしのひとつに、「感情制御能力」があります。つまり何事にも一喜一憂せずに淡々とすすめることができる能力のことです。
感情制御能力を高める方法として、感情の認識と受容、リラクゼーション法の実践が挙げられています。成功とは何かと問われれば、多くの人は目標を達成することなどを挙げるでしょう。しかし、本当に重要なのは、その過程をどのように乗り越えるか、目の前の困難にどう立ち向かうか、であると私は信じています。
まずは、私たちの感情制御能力が脳でどのように扱われているかを理解することが大切です。脳は、私たちの感情を制御する中枢であり、脳の一部である「前頭葉」と「扁桃体」が主に関与しています。感情が高ぶると、扁桃体が反応し、それを前頭葉が抑制・調整して落ち着かせます。しかし、この2つの働きのバランスが崩れると、感情のコントロールが難しくなります。感情制御能力を上げるためには、まずこの脳の働きを理解し、バランスを取る方法を学ぶことが必要です。
成功するために感情制御能力を高める方法
成功するために感情制御能力を高める方法について紹介します。まず、自身の感情を認識することが大切です。それを自分自身で理解し、自覚することが一番の始まりです。強い感情が押し寄せても、それを受け入れ、理解し、適切に表現できれば、ストレスは減りますし、円滑なコミュニケーションも可能になります。
また、適切なリラクゼーション法を身につけることも大切です。深呼吸や瞑想などを積極的に取り入れ、常に心身をリラックスさせる習慣をつけましょう。これにより、感情が高ぶった時でも冷静になることが可能となり、より良い判断ができるのです。
成功例から学ぶ感情制御力の重要性
数々の成功者から学ぶべきは、彼らがいかに上手に感情制御を行っているか、という点でしょう。例えば、ビジネスの世界で成功を収めたスティーブ・ジョブズは、自身の強い情熱と思いを理解し、それをビジョンに変換する一方で、他人の意見や批判に対しても冷静に向き合う能力を有していました。
また、名将と称される多くの指導者たちは、チームの厳しい状況であっても自身の感情を保ち、冷静に判断を下すことが求められます。これらの例を見ても、感情制御能力の高さが、自身と他者に対する理解、それを乗り越える力につながっていることが伺えます。
適切なストレス管理がもたらす成功への寄与
ストレス管理は成功に不可欠であり、「好ストレス」はやる気や集中力向上に寄与します。運動、趣味、休息、良い睡眠、栄養バランスのある食事はストレス軽減に効果的です。最終的なアドバイスでは前向きな思考の重要性が強調され、脳の可塑性を活かして未来を切り開くことが強調されています。
私の体験から:催眠術スクールでみた脳波測定器の変化
自己催眠で脳がリラックスしていることを可視化できた
最後に、なぜ私が成功法則を考える際に、脳の仕組みを理解することが大切だと考えるようになったのか?をささやかな体験を書いておきます。
私は催眠術師として主に自己催眠の効能を広げる活動をしています。催眠術は、テレビでやっている「ショー催眠」のほかに、自分自身に暗示をかける「自己催眠」というジャンルがあり、その内容は自己啓発にも役立つものだと確信をしています。
私が催眠術スクールに通い学んでいる時のことです。先生が簡易に脳波を測定できるマシンを借りてきてくださり、深いリラクゼーションに入ったときに、脳波がどんな波形を示すのか?を可視化する実験を行いました。私はいつも行うリラクゼーション法を使って、自分自身を深い催眠状態に誘導しました。そうすると、脳波の簡易測定器は、副交感神経が優位に立つときに示す波形を示したのです。覚醒すると、その波形は崩れます。
この現象を目の当たりにした私は、「心が落ち着いている状態というのは脳が落ち着いてる状態なんだ。心と脳は一体なんだ」という当たり前の事実を体感したのです。
私は、「いろんなことで自分がうまくいっていないな」となんとなく感じているときに、どこを分析したらよいのか?について、「良質な睡眠」「脳機能を助ける食物の摂取」「適切な運動」「知的な刺激」の4つがどうなっているか?が大事だ、と述べました。
ここでは、私自身が思考パターンに変化をつくるために行った方法について書いておきます。
①ノートにひたすら記入する
私が実践したことは、何か特別なことではなく、「ノートにひたすら記入する」ことです。評論家の岡田斗司夫さんが新潮新書から「いつまでもデブと思うなよ」という本を出されていて、そこにダイエットのスタートは、「ただひたすら食べたものを記録していくことだった」と書かれていました。私もそれにならって、「睡眠時間・食べたもの・歩数・読んだ本」をまずはひたすら記入することから始めました。慣れてくると、その日の気分、読んだ本の感想なども簡単にメモしていくようにしました。
②瞑想の力
もうひとつは、リラクゼーション法をとりいれました。私には、ヨガとかたいそうなことはできませんので、布団の中でボーっとする時間を瞑想と勝手に名付けました。睡眠が不足しているときは、このタイミングでまた寝落ちてしまうこともありました。しかし、慣れてくると、瞑想をしたあとにとても穏やかで頭がクリアになっていることを体感できるようになりました。もうひとつは、エレベーター法というリラクゼーション法の実践です。
簡単に書くと、20階建てのビルのエレベーターに自分がのっておりてくる姿をありありとイメージして、1階ずつおりるたびに落ち着いた気持ちに自分がなるというイメージを強く持つ方法です。この方法で私は、かなりリラックスした状態にいつでも入れるようになりました。落ち着いた状態=脳がリラックスした状態することで、知識やスキルの吸収も格段に飛躍したことを覚えています。
まとめ
今回の記事では、「脳の秘密と成功法則:知識の活用と自己成長の可能性」ということをテーマに書きました。
読者のみなさんに、くりかえし強調したいことは、成功法則は脳の仕組みを理解してそれにそった行動を繰り返し行うこと。それは、あたかもスポーツの練習にも似たような脳という筋肉のトレーニングだというイメージを持つことが大切だということです。
どんなスポーツでも、プロの選手をめざすのでなければ、ある程度反復したトレーニングで上達することは可能です。
同じように私たちの能力も、いわば「脳力」であり、法則にそったやり方で訓練することで「なりたい自分」へと高めていくことは十分可能なのです。今回の記事を読んでいただき、まずは自分を客観的にみつめて目標に向けて、正しく行動をしていきましょう。
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